『T-RackS 5』Master Matchの使い方
こんばんは。
今日は、IK Multimediaのプラグイン・バンドル『T-RackS 5』から「Master Match」の紹介です。
Master Matchについて
Master Matchは、楽曲の仕上がりのイメージに近いリファレンス音源を読み込み、特性を解析。さらに、それによって得られたEQカーブや聴感上のラウドネスを、インサートしたトラックに適用できるというものです。
初心者の頃は特に、ミックス・マスタリングの際のイコライジングなどに手こずることが多いと思いますが、そういった方には特におすすめです。また、初心者でなくとも、いまいちよい答えが見つからないときにこれを使うと、新たな方向性が見えてくる場合もあったりして、なかなかどうして便利なツールです。
使い方
では、使い方を解説していきましょう。
「T-RackS 5」は、プラグインでもスタンドアロンでも使えますが、操作方法はどちらもほとんど同じです。この記事ではDAW上でプラグインとして使っています。
Master Matchを起動すると、下のような画面になります。
まず、リファレンスとして使いたい音源を取り込んでいきます。
画面中央の少し上寄りに「+」のボタンがありますね。クリックすると、ファイルを参照できるようになりますので、ここで任意の音源を選択しましょう。ちなみに、右の方にある「Add Reference」の右横にある数字をクリックすることによって、音源を3曲までストックすることができます。
音源を読み込むと、下の画像のように波形が表示されます。
波形にオレンジの透かしが入っている部分が、この後解析される範囲になってくるので、もしも曲中の限られた部分だけで良いということでしたら、その部分をマウスで選択します。読み込んだ時点では、すべての範囲が選択されるようになっているはずです。
さてこのとき、画面左「LEARN REFERENCES」のランプが点滅していると思われます。読み込みが終わったら、その点滅しているボタンをクリックします。
そうすると解析が始まり、終了すると以下の画像のようにEQのカーブが表示されます。
次に、制作中のトラックを解析します。点滅している「LEARN SOURCE」をクリックし、DAWもしくはスタンドアロンのウィンドウにて、任意の範囲を再生します。再生中はランプが点灯したままになります。ちなみにこの時、一部分よりかは、なるべく全体を解析したほうがより精度の高い結果が得られるとのことです。
解析する範囲を再生出来たら、もう一度「LEARN SOURCE」をクリックします。
すると次の「MATCH」にランプがうつりますね。
リファレンス音源のオレンジカーブと、制作トラックのグレー(?)のカーブの2つが表示されます。ここで「MATCH」を押すと、この2つの特性が重なった、新しいオレンジのカーブが描かれます(以下画像)。
あとは解析結果をどれだけ自分の音源に反映していくかを調整していきます。下の画像に切り取りましたが、右の方にフェーダーがありますね。
左の「SPECTRAL MATCHING」では、先ほどのEQカーブをどれだけの強さでトラックに適用するかというのを決め、右の「LEVEL MATCHING」では、ラウドネスをどれだけ近づけるかを調整します。再生しながら調整してみましょう。
この時少し注意が必要なのは、ラウドネスのフェーダーは、必ずしも上げれば上げるほど音圧が上がるわけではないということです。どれだけ近づけるか、という調整になるので、仮にリファレンス音源の方が音圧が低ければ、フェーダーを上げるほど音は小さくなります。
それと、リファレンス音源がマスタリングを経たものだった場合(というかむしろこの方が多い)、そのことを頭の片隅に入れて作業していった方が良いかもしれません。
また、オレンジのEQカーブに関しては自分で微調整をすることができます。
ブーストもしくはカットしたい周波数のカーブの上でダブルクリックすると、上の画像のようにオレンジの二重丸が現れます。あとはパラメトリックEQと同じ要領で調整していきましょう。下の方で、Q幅なども細かく設定できるようになっています。
ちなみに、EQの修正に関して。僕の場合は、下に使い慣れたプラグインを挿して、そこで改めて調整をしていました。この辺はお好きな方法で調整していけば良いと思います。
あっと。説明をし忘れていましたが。いちおうプリセットもあります。
左上の「Load Preset」から選択できます。まあ基本的にはリファレンスありきのという感じなので、あまり出番はないかもしれませんが、こちらも試してみる価値はありそうですね!
以上が基本の操作方法です!
おわりに
ということで今回は『T-RackS 5』の「Master Match」について書いてみました。
ミックス・マスタリングをするとき、特にまだ慣れない頃にはなかなか心強いツールですね。
もちろん、あんまりこればかりに頼るのもちょっと罪悪感がないわけではない…ですし、ある程度の微調整も必要になってきます。あれ?こんな感じになっちゃう?ってこともあるので、変に過信せずに最後は自分の耳で決めるしかないと思います。
ただ、困ったときのお助け先生というのか、ちょっとした第三者的視点からアプローチしてもらえるという所で興味深いプラグインではないでしょうか。正しく付き合っていきましょう(笑)。
ということで、最後までお読みいただきありがとうございました!